私は、結合写像格子(Coupled Map Lattice、CML)を用いた構成的(手続き還元的)なアプローチで、複雑な現象をシミュレート(再現、予言)しています。これまでに、食物連鎖や天体形成に対する結合写像格子を提案してきました。現在は、調理過程において食品コロイドが示す複雑な振る舞い ―― 特に、撹拌によって生クリーム(水中油滴型エマルション)からバター(油中水滴型エマルション)へと至る転相現象 ―― を再現する結合写像格子を構成し、その美味しさの秘密(食感形成)に物理学の立場から迫っています。今後、食品を始め、界面制御により様々な機能を実現する、高分子・有機材料の開発へ向けた複雑系アプローチにもチャレンジしていきます。